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これはAにとっては強力なバーゲニング・パワーの源泉になるから、かなり安く文房具を仕入れることができる。 そして、文房具の購入、在庫管理のためにかかる人件費や在庫費用は意外と大きいのである。
Aは各企業ごとにビジネスの流れを分析し、文房具の最適な在庫水準を算定して、自社のコンピュータに記録しておく。 そして顧客である企業は、毎日、どの文房具をどれだけ使ったかをメールで通知する。
Aは、各社からの文房具の使用状況を管理しており、品目ごとに最適水準を切った時点でただちに補充する仕組みを完成したのである。 今日足りなくなった文房具は自動的に発注され、〃明日くる〃という意味で、「A」という社名がつけられたのだそうだ。
社長であるI田彰一郎氏は、「現在では、〃明日くる〃でなく、〃今日くる〃ができるようになった」と笑っていた。 もしそうだとすれば、文房具の在庫は一日分でよいということになる。
企業側からみると、Aの在庫管理サービスは文房具の管理のために人員を配置しなくてすむので、ありがたいサービスであり、いったんそのサービスを受けると、その便利さゆえにやめられなくなる。 Aからみると、顧客のロックイン(囲い込み)が顧客の企業からみれば、Aは最適な在庫管理をやってくれる上に、入ってくる文房具も安いとなればいうことはない。
Aはまだ創業して4年ほどであるが、その売上げは倍々ゲームで伸び、現在100人の従業員で、年商400億円を上げる超優良会社となっている。 上場も間近とされている。

このビジネスモデルの一番のポイントは、個々の顧客企業の注文の内容、量にそれぞれ違いがあっても、どういう文房具がいま必要かを、コンピュータで一斉にオンライン管理をしている点にある。 もしいちいち文書や電話でやりとりしていたら、その情報コストは高くなってしまう。
情報コストの劇的な低下が、Aの成功の鍵だったという意味で、時代を象徴している新しいビジネスモデルのひな型なのである。 もうひとつの重要なポイントは、このケースでは、個々のお客には文房具というモノを売っているようにみえるが、実は基本的に売っているのはモノというより〃サービス〃だという点である。
お客が必要とする文房具を、ジャスト・イン・タイムに供給するというワンツーワンの〃サービス〃を売っているのである。 実際に文房具を作っているのは、プラス、Kなどのメーカーであるが、これらメーカーとサービスを提供しているAを比較すると、圧倒的に儲けているのはAである。
メーカーは大量注文をしてくれるAに徹底的に買い叩かれて安く売らざるを得ない。

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